ARCHIVE HALL / IMPERIAL ACCOUNTING RECORD

帝国中央会計院作成・帝国公文書院保存

帝国財政台帳

整理番号:財政―中央―第十八号 / 閲覧区分:会計官以上 / 単位:syr

資料概要

第十八会計年の記録

本書は帝国全域の税収と支出をまとめた会計台帳である。

各地の会計所から送られた記録を、帝国中央会計院が集計した。

青字は中央演算核が算出した数値を示す。黒字は算出後に宰相府が追記した数値である。

第百二十二頁から第百二十八頁までが失われている。綴じ糸の周囲には、刃物で切り取られた跡が残る。

第一表

国民生活基準

帝国中央会計院が定める標準的な生活費。

一人世帯

一人世帯の標準的な月額生活費
項目月額
食費・清水費65,000 syr
家賃50,000 syr
暖房・灯火費15,000 syr
衣服・日用品費10,000 syr
医療・移動・その他10,000 syr
最低生活費150,000 syr

一般世帯

一般世帯の年額収支
項目年額
世帯収入4,560,000 syr
最低生活費3,600,000 syr
通常税480,000 syr
宰相府特別徴収840,000 syr
税の合計1,320,000 syr
納税後に残る額3,240,000 syr
最低生活費との差△360,000 syr
会計欄外の書き込み

通常税のみであれば年四十八万syrが残る。

特別徴収を加えた後は生活基準を下回る。

基準の再計算を求む。

書き込みの下には中央会計院の受理印がある。

その横には、別の筆跡で次の一文が加えられている。

再計算の必要なし。徴収額を優先せよ。

第二表

主要物価調査

帝国内の主要物価
品目標準価格
パン一個200 syr
清水一瓶100 syr
安宿一泊5,000 syr
一人暮らし用住居・月額50,000 syr
初級回復薬25,000 syr
簡易魔導装備80,000~300,000 syr
北部会計所からの報告

冬季は暖房費と食料費が基準額を上回る。

納税後に回復薬を買えず、治療を受けない者が増加している。

予算外

第三表

地域別徴収記録

地域別の徴収額と滞納件数
地域徴収額滞納件数
帝都管区19,100,000,000 syr1,980件
北部管区9,800,000,000 syr2,760件
東部管区11,400,000,000 syr1,910件
西部管区12,600,000,000 syr2,320件
南部管区12,700,000,000 syr3,310件
合計65,600,000,000 syr12,280件

北部管区の記録には、ユーフロスト会計所からの報告が挟まれている。

雪害により収入を失った三百七十二世帯が納付延期を申請。

宰相府命令により全件不受理。

未納者名簿を帝国管理局へ送付した。

第四表

中央演算核による必要支出

中央演算核が算定した必要支出
支出項目算定額
食料備蓄・配給8,400,000,000 syr
道路・橋・水路整備7,600,000,000 syr
医療・救済4,200,000,000 syr
雪害・寒冷地支援3,800,000,000 syr
ギルド委託・魔物討伐5,300,000,000 syr
行政・王城維持8,700,000,000 syr
教育・公文書管理2,600,000,000 syr
中央演算核維持3,100,000,000 syr
災害・緊急予備費4,500,000,000 syr
必要支出合計48,200,000,000 syr

算定欄の末尾には、青い文字で次の記録が残る。

必要額算定完了。

予定収入と支出は均衡する。

追加徴収の必要なし。

第五表

宰相府追記

宰相府が追記した特別加算
追加項目金額
国家安定維持費6,800,000,000 syr
特別治安対策費4,100,000,000 syr
国境防衛準備費3,700,000,000 syr
宰相府管理予備費2,800,000,000 syr
特別加算合計17,400,000,000 syr

各項目の使途については、次のように記されている。

詳細は宰相府特別会計簿を参照すること。
参照先として指定された第百二十二頁から第百二十八頁は現存しない。

第六表

歳入と歳出の照合

歳入と歳出の照合
項目金額
中央演算核算定必要額48,200,000,000 syr
宰相府特別加算17,400,000,000 syr
国民からの徴収総額65,600,000,000 syr
確認できた支出明細48,200,000,000 syr
台帳に記された支出総額65,600,000,000 syr
明細のない差額17,400,000,000 syr

差額は宰相府特別加算と一致する。

第七表

四会計年比較

金額の単位は十億syr。

第十五年から第十八年までの会計比較
項目第十五年第十六年第十七年第十八年
中央演算核算定必要額45.846.747.448.2
宰相府特別加算06.512.117.4
徴収総額45.853.259.565.6
生活救済費6.96.14.93.8
滞納者移送費0.120.310.781.46
魔物討伐費2.12.84.05.3
滞納件数3,140件5,620件8,930件12,280件

第十六年から宰相府特別加算が始まっている。

同じ年から生活救済費が減少した。

滞納者移送費と魔物討伐費は毎年増加している。

第八表

滞納者移送記録

滞納者の処理区分と人数
処理区分人数
納付猶予を認めた者418人
労役による返済を命じた者2,906人
帝都管理局へ移送した者1,284人
移送後に所在を確認できた者37人
記録の残らない者1,247人

移送先の欄には、すべて同じ整理番号が記されている。

管理―獣性―第九号

この番号に該当する管理記録は、帝国公文書院に保管されていない。

会計官照合記録

差異の申告

第十八会計年・雪月十二日

中央演算核の算定額と徴収総額に差異あり。

差額は17,400,000,000syr。

宰相府特別会計簿の提出を求める。

会計官 セド・ラウ

雪月十三日

宰相府より閲覧不許可の回答。

理由は国家機密。

再申請を行う。

会計官 セド・ラウ

雪月十五日

差異なし。

全ての支出は適切に処理されたものと認める。

会計官 セド・ラウ

最後の記録だけは筆跡が異なる。署名の形も、それ以前の二つとは一致しない。

帝国公文書院

整理官注記

本書の数字には計算上の誤りがない。

中央演算核が算定した必要額は、確認できる支出明細と完全に一致する。

徴収額を増やしたのは中央演算核ではない。

宰相府によって追加された17,400,000,000syrの使途は、現在も確認できていない。

同時期から税の滞納者が急増した。

移送後の記録を失った者も千人を超えている。

さらに各地では、理性を失った魔物の出現数が増えていた。

この三つの記録に関係があるかは不明である。

失われた七頁には、その答えが記されていた可能性がある。

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